牟田和恵(大阪大学名誉教授。提訴時は大阪大学人間科学研究科教授)
牟田らの科研費研究(2014~17年度。牟田を研究代表者とし計7名の共同研究)について、杉田水脈自民党衆院議員から研究がねつ造である、研究費に不正使用がある等々、SNSやインターネットTVで誹謗中傷をされ、牟田及び共同研究者4名(岡野八代同志社大学教授・伊田久美子大阪府立大学教授・古久保さくら大阪市立大学准教授。いずれも提訴時)が名誉棄損による損害賠償と謝罪を求めて杉田氏を2019年2月に京都地裁に訴えた。その判決が5月25日に下ったが、原告らが問題とした数々の誹謗中傷の発言をことごとく、単なる意見論評に過ぎず、原告らの社会的評価を損なったとはいえないと切り捨てる、全面敗訴の結果だった。この結果に、落胆とショック、個人的な怒りと腹立たしさももちろん強いが、あらためて判決の内容を吟味し考えるとさらに、日本の司法もここまで来たか、これが日本社会の常識になっているのか、、、の思いを強くし、その問題を多くの人々と共有すべくここにその問題点を整理することとした。なお、本稿は弁護団や原告団全体の共通見解というわけではなくあくまで牟田個人の、現時点での思いであることをお断りしておく。
- 歴史修正主義(歴史改ざん)に立つ判決
- 学術研究の性格や研究者への無理解
- 杉田議員の影響力、権力を無視:個人的な争いであるかのように矮小化
- 事実認定の判断の恣意性、被告側への目に余る肩入れ